【裏要素注意】 茂さんは、私に触れる時とても優しい。 細長い骨ばった指で、私の肌を滑る。 「茂さん…っ、」 茂さんのモノが私の中で、激しく動く。 それと同時に、茂さんの指が、私の敏感な粒を触る。 二つの感覚に、私の頭はおかしくなりそうだ。 「だ、だめっ…茂さっ…」 「だめじゃないでしょ、おはるちゃん」 茂さんは、楽しそうに私の体を弄ぶ。 茂さんにとって私の体を扱うのは、まるで赤子の手をひねるのと大差変わりないのだ。 「ふっ…あっ、」 唯一私の出来る抵抗といえば、声を出さないように必死で抑えることだった。 けれど、茂さんはそれを許さない。 私が気を抜いた瞬間に、私を急激な快楽へ陥れる。 「ひゃっ…ん、んっ、ん…あ、だめぇっ…あ…」 達してしまいそうになる間際、茂さんは、動きを止めた。 「ねえ、おはるちゃん…」 「茂さん…っ」 「ねえ、俺が欲しい?」 下半身が疼いていた。 生理的に涙が瞳にたまる。 茂さんは、優しい。私に優しく触れる。私を優しく扱う。 けれど、たまに意地悪だ。きっと、彼は狙ってやっている。 「…っ、茂さんっ…いじめないで…っ」 「達しちゃいそうだった?」 茂さんは、楽しそうに私を見降ろした。 その目は、あやしく光っている。 私は、我慢できず、コクコクと頷いた。 「いじめないでくださいっ…」 「じゃあ、言って。俺が欲しいって。」 耳元に口を近づけ、優しく囁かれる。 その瞬間に、私の羞恥心はどこかに消えてしまった。 「茂さんが…っ、欲しい…です」 その言葉を聞いた茂さんは、満足そうに微笑み、私の頭を撫でた。 そうして、私を高みへ呆気なく連れて行ってしまった。 「茂さんって優しいけど、意地悪です。」 「へ…?どうして?」 営みが終わったあと、ベッドに寝転がりながら、私はささやかな反抗心を見せた。 すると、茂さんは不思議そうな顔をした。 この人は、あれを素でやってのけているのだろうか。 だとしたら、そうとう性質が悪い。 「だって…茂さんは、いっつも焦らしてきます。」 「あ、あぁ、イく時って事?」 「し、茂さんっ!そんな直接的に言わないでください!!」 瞬間的に顔を熱くなる。 茂さんは、そんな私を見て笑った。 「だって、おはるちゃん可愛いんだもん。いじめたくなるよね」 「でも…毎回それだと……」 「すんなり達したいってこと?」 「ち、違いますっ!その……なんて言うか……―――」 「俺はさあ、」 布団を握りしめ、「恥ずかしい」という言葉を発しようとした時。 茂さんの手が、私の手を包み込み、そして、言葉を遮った。 「―――きっと、捻くれてるんだよ。」 「……。」 「あんな特異な家で育った所為か、否かは分からないけど…… 少なくとも、俺はちょっと心がねじ曲がってるんだと思うんだよね。 はるだって散々知ってるでしょ?プレゼントを捨てたり、意地悪したり。」 「はい。あの時は、結構傷つきました…。 でも、昔の事ですし!今はいっつも優しくて、茂さんといると、すごく幸せです。」 そう言うと、茂さんは目を細め笑った。 頭を撫でる骨ばった手が、心地よくて仕方ない。 それと同時に、どこか切ない。 「俺も、はるといると幸せだよ。 けど、どうしてか分からないけど、身体を合わせる時になると、また苛めたくなっちゃうんだよねぇ。 多分、変な性癖なんだよ、俺って。意地悪して、その意地悪されてる時のはるに妙に興奮を覚えるんだ。」 「こ、興奮ですか……?」 「……こんな俺、嫌い?」 茂さんは、淋しげに私の手をさすった。 嫌いだなんて、聞かれたって、答えは一言しかないのに。 「嫌いなんかじゃありません!大好きです!」 茂さんは、私の言葉を聞き終わるとニヤリと笑った。 さっきの切なさは、どこへやら。瞬間的に、やられたな、と思った。 彼は元芸者だ。その事を、忘れてしまっていた。 「ということで、もう一回しようか!」 「も、もうっ!茂さん!」 茂さんが、私に覆いかぶさった。 今夜は、寝れないかもしれない。 「でも、どんなに意地悪されたって茂さんが好きなのは本当です。」 その瞬間、耳元で囁いてやる。 「意地悪されるの、嫌いじゃないですから。」 茂さんの動きが一瞬止まる。 そうして、優しいキスが降ってきた。 茂さんは、笑って誤魔化してしまったけれど、きっと心の奥では自分の捻くれた性格を気にしているのだろう。 けれど、私はそんなちょっと捻くれた所にある茂さんだって大好きだ。 そんな想いがが届けばいい。茂さんの心の奥底に。

イヤイヤよ、も好きのうち

<10.09.21>